リレーエッセー 第79弾

初めまして、中野貞弘と申します。 兵庫の県立高校で中国語・英語を担当して35年になります。 第1線を退いたら中国で何か出来たらと考えていました。 しかし、日本に留まりつつ出来ることをと軌道修正し、神戸の日本語学校で中国青年にも教えています。 4年前、吉林大学での高校中国語教師夏季研修講座で出会った方とのつながりで、昨年から中国の農村の小学校とボランティア交流をしています。 今回はその報告をさせていただきます。第67弾で「中国を見る目」北京支部 支部長伊藤武司さん(学30C)が最後に触れておられた北京支部で取り組まれている「希望プロジェクト」に繋がるエッセイのつもりです。 まさに「大海の一滴」、小グループのささやかな活動ですが、最後までお読みいただければ幸甚です。

中国東北(旧満州) 教育交流の1週間

2013年 糖葫芦の会 第7次キャラバン隊参加報告

中野 貞弘(学19C・II25E)

昨年に続き、中国吉林省の農村の2つの小学校を訪れ、英語の授業やカレーライス給食などで交流した。 学校規模は50名:学年10名程の大きさである。

1校で40分授業を2時間連続で、計6時間、音楽と図工の授業通訳で4時間、カレーライス作りで2時間、放課後に5・6年生とスポーツ(ドッチボール)やゲーム(ナンバーコール、フルーツバスケット)。5日間で合計24中で出会った子供たちと生き生きと学び、楽しんだ。休憩時間にはプレゼントした長縄跳び、バレーボール、サッカーボールで遊んだ。昨年の学校には全くなかったバスケットのリングが校庭に(牛心小)、昨年新築された長嶺小学校には卓球台、理科実験室、コンピュータールームもあった。 「農村部や僻地への教育支援が国の予算からも徐々に行われている」との副校長の発言もあった。


【キャラバン隊の活動報告書・期間と日程】

吉林省 蛟河市 天北鎮 牛心小学(61名)8月26日〜28日、 同 長嶺小校(43名) 28日〜30日

時限 8/25(日) 26(月) 27(火) 28(水) 29(木) 30(金) 31(土)
1・2 CA162
関空9:30→
北京11:50
牛心小へ 3/4年:福井
5年:N・B
6年:中野
3/4年:B・N
5年T・中
6年:福井
3/4年:福井
5年:N・B
6年:中野
3/4年:B・N
5年:T・中
6年:福井
長春発
3・4 CA1629
北京15:25
長春17:20
カレーライス
作り:全員
3/4年:N・中
5年福井
6年:B・T
カレーライス
作り:全員
3/4年:N・中
5年福井
6年:B・T
CA1656
長春11:40
北京13:30
カレー給食 長嶺小へ カレー給食
5・6 龍嘉空港着
飛行機延着
3/4年:T・B
5年:中野
6年N・福
3/4年:中野
5年:B・N
6年T・福
3/4年:T・B
5年:中野
6年N・福
3/4年:中野
5年:B・N
6年T・福
長春へ CA161
長春11:40
北京13:30
T:T先生 N:N先生 中:中野 B:B先生 福:福井 *2名担当時:前者が授業、後者が通訳、補助。
【参加者と担当授業内容】(福井啓子、中野貞弘以外はイニシャル)
福井 啓子 :カルタ(作り)を通した授業。会代表。長春工業大学外国語学部教員、元大阪の小学校教員。
T 先生 :音楽。福井と共に7回皆勤で会の中心メンバー。元大阪の小学校教員。
N 先生 :図工。フリー写真家。授業で撮影・印刷した自分の写真でポップアップカード作り。
中野 貞弘 :英語・通訳。英語で簡単な自己紹介が出来る、英語の歌。(中国では小学3年から必修)
B 先生 :通訳・体育(ダンス)。幼少時を中国東北で過ごす。大阪在住、幼名"ピンピン"。
8月25日(日) 関西空港⇒(北京)⇒長春へ
関空にT・N父娘とBさんと私の4名が集合。 9:30発の予定が尾翼のトラブル(部品交換)で4時間以上遅れ、当初の乗継ぎ便より3便遅れの20:10北京発に乗り、宿泊先の長春工業大学の職員寮へは午後11時を過ぎていた。 遅い夕食と簡単な打ち合わせ後すぐ就寝。 牛心小学校
26日(月) 長春⇒(天北鎮の中心学校)⇒牛心小学28日午後⇒長嶺小学30日まで

タクシー2台に支援物資と5人を乗せ、3時間弱かけて蛟河市 天北鎮の中心小学校へ。 そこは小学校と初級中学を合わせ、四階建ての大きな校舎と広いグランドを持ち、「天北九年制学校」と校名が立派な校門に大きく彫られていた。 中心小学校の下部組織として「下一級」学校が10〜15キロ離れた村に5つあり、そのうち1校は来年度には統廃合されるとのこと。 中心学校で学校職員の車に乗り換え13キロ離れた牛心小学校へ向かう。 各学年1学級、61名の学校である。

対面式と学校の希望であるデジタルカメラとビデオカメラ及び子どもたちへの本、ノート運動用具贈呈式を終え、すぐに午後の授業へ。

【英語の授業】

昨年、僕個人として生涯初めて小学生への授業を、中国の子供たちに行った。 中国では英語は3年から週2時間、5年からは週3時間実施と聞き、立派な国定教科書を目にしたので随分欲張り、盛り沢山で消化しきれない授業をした反省から、簡単な自己紹介を、原稿を見ずに発表できることを今年の最終目標に実施した。 (a)数詞と序数詞の区別、(b)12ケ月の言い方を学び(復習し)、下記(1)〜(5)を英語と中国語でまとめた書き込み式カードを配布し授業を進めた。

(1) Hello, my name is 〜 〜.  (2) I'm 〜 years old.  (3) I'm in the 〜th grade.  (4) My birthday is 〜 〜.  (5) I like to 〜.

3,4年合同クラスは、(a)ひと月の日にちを言えること、(b)は用意したフラッシュカードを使い、ゲーム形式で覚えることだけでも60分以上要した。(1)〜(5)の文型中の単語もほとんどが新出語であるのでなかなかハードな授業になってしまった。 楽しく達成感のある授業には出来なかった。 来年への課題である。 5年生は、(4)までをカードを見て言えるまで進めた。 当然、級友の発表を聞いて誕生日を聞き分けることもできた時は拍手が起きた。 6年生は、(6)までを原稿を見ずに完璧に言えることを期待したが、1,2回助け船を出せば、きれいな発音で出来る子は複数名いたので、正規の授業へつながる内容になったかと思う。 英語の授業の様子

ちなみに(b)12ケ月の言い方は5年生の前期にある新出語である。 中心小学校の英語主任の先生から、今年から改訂された新しい教科書をいただいた。 都会の重点校では、しっかりと教え込まれていくのだろう。 【今年、気づいたこと】 授業の最初に中国語で尋ねたら誕生日を農暦(旧暦)、年齢は数え年で答える子供が何人もいたこと。 しかし、子供のころ祖父母や大人たちが数え年で言うのは当たり前で、戦前の農村なら日本でも旧暦中心の生活だったこと、そして現代中国の休日が春節をはじめほとんど農暦によることを思えばそれほど不思議でもないかと思い直した。 都市部ではどうだろうか。

当然どのクラスでも英語力の差がかなりあり、最終的には自分の誕生日だけを言えればよいことにしたが、驚いたことに、自分の誕生日を知らない子供がいたことだ。 そんな子には好きな日を誕生日にして答えさせた。 また発音上で面白い発見をした。 日本の多くの生徒と同様、語尾の子音にはっきりとした母音がくっつくことだ。 中国語(普通話)が開音節語と関係があるのだろうか。

【英語の歌】

今年は「Happy birthday to you」「幸せなら手をたたこう」「旅愁」の3曲。 いずれもよく知られているメロディーである。 「旅愁」は日本に留学した李叔同が、日本語の歌詞をもとに中国語に訳詩し、内容が中国人にぴったり合うのか誰もが中国の歌:「送別」だと信じている曲である。 アメリカ人オードウェイの曲であることを知らせることも昨年からの些細な楽しみである。

【その他】

先生方との交流や地元の人々の夕べの楽しみ:「扭秧歌儿」(盆踊り)、「健美操」(エアロビクス)へも参加し、「旅店」(簡易ホテル)での寝泊まりも新鮮だった。 また長春市内では、福井先生が勤務する長春工業大学を訪ねたり、日本語学科の学生とも交流する機会も得られた。

集合写真


糖葫芦(タンフールー)の会:福井啓子先生が主宰する教育ボランティア団体。 施設・設備が不十分な中国の小学校を訪問し、(1)1校に5千元相当の援助、(2)子供へ書籍・学用品プレゼント、(3)参加隊員の授業実施(通訳付き)、カレーライス給食*等を通じ日中教育交流を実施している。 会員の会費・寄付により運営され、現地で中国人の協力も得ている。2007年から主に長春郊外の農村を訪問し、今年で7年目を迎えた。 1989年に始まった『希望工程』と直接的な関わりはないが、不十分な教育環境で学ぶ子供たちを支援しようとの趣旨は同じである。 (*ハウス食品(株)の協賛)

「人間生きていくときにね、俺の政府と、お前の政府との仲が冷え込んでいるからって俺には何の関係もないよ。不便になるかもしれないけど、全然関係ない」

「僕はまったく心配していない。中国にいる僕の仲間だって心配していないと思う。どこに行ったって関係ないよ、それは」。 (小澤征爾 朝日新聞2013.9.19朝刊より)

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中国瀋陽生まれの世界的指揮者から、日中で草の根交流を続ける人々への心強いメッセージに出会った。

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