リレーエッセー 第77弾

これからの同窓会とインターネット

樫原 令子(学46E)

高校の同窓会の幹事になり、来年一月の開催に向けて準備を進めているところである。

卒業から20年。 今では日本中どころか世界中に散らばっている同級生たちと連絡を取ることは容易ではない、はずなのだが、インターネットのfacebookを利用しているおかげで、予想以上にサクサクと同級生との再会・連絡が進んでいることを実感している。

それまでホームページ、ブログ、mixiにtwitterと何でもやってきていた私だが、実名登録が原則であるfacebookには登録をためらっていた。しかしいざ登録してみると、実名登録であるがゆえに、他のSNSに比べ登録者のマナーが良く、不快な思いをすることが少ないことがわかった。 また、実名登録であることの最大のメリットとして、知り合いを見つけやすいということがあり、数年間音信不通だった大学時代の友人とすぐに再会することができた。 それで十分満足だったのだが、ほどなくして高校時代のクラスメートに発見されてしまい、高校の同窓会プロジェクトに誘われたというわけである。

ネット上でやり取りするだけでなく、お盆やお正月に何度か実際に集まって企画会議(という名のプチ同窓会)を行った。 20年という歳月は田舎の少年少女をくたびれかけた中間管理職や都会でバリバリ働くキャリアウーマンに変えてはいたが、顔を合わせると一瞬にして素朴な高校生に逆戻り。 高校時代はそれほど親しくなかった人ともすぐに仲良くなり、幹事としての結束が芽生えているところである。 今ではfacebookに登録してみて本当に良かったと思っている。

facebookへの登録は、氏名と簡単なプロフィールの入力だけで完了する。 プロフィールに出身校を登録しておくと、「あなたの友達かも?」として、facebook登録者の中から自分と同じ高校や大学の出身者がずらりと表示される。 「神戸外大卒業生でこんな人もいるんだ」と驚いたり、時にはクラスメートや先輩・後輩を見つけて懐かしんだり、メッセージを送ってみたりすることができる。

また、facebookには「facebookページ」という機能があり、企業や団体がfacebookユーザーに対して製品やイベントなどの情報を提供することができる。ユーザーはそのページを見て「いいね!」をクリックすることで、その企業や団体の情報を随時手に入れることができる。 たとえば私は「神戸市外国語大学学園祭実行委員会facebookページ」に「いいね!」しているが、実行委員会がページに新しい情報を追加すれば、そのつど私の「ニュースフィード」(いわゆる「マイページ」のようなものである)にその情報が載るので、私は学園祭の最新情報を逃さずに済むというわけである。

このように「人を見つける」「情報を見つける」という二つのことを画期的なスピードで実現できるのがfacebookの魅力である。

楠ヶ丘会でも、若い卒業生に関心を持ってもらうためにインターネットをもっと活用しようという動きがあり、中でもfacebookは多くの関心を集めているようだが、今一つ必要性がわからない、ホームページがあるのだからそれで十分ではないか、という人も多いかと思う。 もちろん楠ヶ丘会のホームページも立派な一つの広報手段ではあるが、正直なところその存在を知るごく一部の人々にしか届いていないというのが現状である。 また、現在の毎月一回という更新ペースでは、どうしても訪問者の足も遠のいてしまいがちである(インターネットのユーザーは、動きの少ないページは訪問しなくなる傾向がある)。

たとえば「○○支部の交流会がいよいよ明日に迫りました。飛び込み参加もOKです!」というような緊急の情報をfacebookページで発信し、楠ヶ丘会が今現在活発に動いている組織であることをユーザーに印象づける。 その上でホームページの運営も今まで通り維持していく(もちろん相互にリンクを張る)、という二段構えで行ってみてはいかがかと思う。

実際すでに多くの大学の同窓会組織がfacebookページを持っているのを私は確認している。 「よそがやってるんだからうちも……」と安易にすすめるわけではないのだが、楠ヶ丘会の年会費を支払っている卒業生があまりに少ないという現状、支払う必要があることすら知らない卒業生も多いという事実を考えるにつけ、まずは楠ヶ丘会の存在自体を知ってもらうことが急務なのではと思う。 「どんな卒業生がどこで何をしているのかを把握する」「より多くの(とりわけ若い)卒業生に迅速・確実に情報を提供する」という2点が楠ヶ丘会の目下の課題だと私は考えているのだが、この二つを簡単に叶えることができるのがfacebookなのである。

同窓会組織にとって現在はまさにアナログ(紙媒体など)からデジタル(インターネットなど)への過渡期である。 若い卒業生の注目・関心がなかなか集まらない現状が続く限り、最悪の場合、大幅な活動規模縮小を余儀なくされることもありうるこの状況下で、これからの楠ヶ丘会がどの方向へ進んでいくのか、大いに議論し、思いきって行動に移していくべき時なのではないかと考えている。

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